やみくもに転職活動するだけでは収入倍増は望めない
転職の目的は人それぞれですが、年収アップが目的という方も少なくないことでしょう。
しかしながら、闇雲に転職したところで、満足のいく年収アップは望めません。
では、実際に年収アップを成功させるためにはどうしたらよいのでしょうか。
年収アップのポイント
まず、給与を決めるのは企業側なので、給与額がどのように決定されているのかを事前に知っておかなくてはなりません。
このため、実際に転職に踏み切る際には、年収アップを実現するためのポイントをきちんと押さえておきましょう。
転職する企業の給与規定を知っておく
多くの企業では、社員の給与を算定するために給与規定を設けています。
基準は各社が独自に定めているので、外部への公表はされず相場も異なりますが、水準が高い企業に転職できれば年収アップの可能性が高くなります。
転職の際には内定時に提示される金額ばかりに目が行きがちですが、どのような給与規定が設けられているのか確認することで、年収アップの可能性が高まります。
例えば、実績に対するインセンティブが設定されていれば、それに応じた報酬が期待できます。
ただし、給与と実績が高い水準で連動していると、安定した収入が確保しにくくなるので注意が必要です。
企業の規模ばかりにとらわれない
先入観として、大企業へ転職することが年収アップに繋がるイメージがあるかもしれません。
しかし、上記のような給与規定は規模の大きな企業ほど画一的な傾向があります。
配属先や年齢によって細かく給与が規定され、結果的に年収アップにつながらないこともあります。
一方ベンチャー企業などでは、一人の人材が会社に与える影響は大きく、活躍次第で柔軟に給与が決定される可能性があります。
実質的な収入を見極める
実際の給与額ばかりでなく、福利厚生や諸手当などによっても、実質的な収入は異なってきます。
一般的なところでは住宅手当や家賃補助が考えられますが、例えばこれらが月に3万円支給されるとされないとでは、年間で36万円も実質的な収入に差が生じます。
また、給与のうち残業代の占める割合がどの程度かという場合にも同じようなことがいえます。
さらに、転職先として業績好調な企業を選択することは間違いではありませんが、年収に占める賞与の割合は見極めておかなくてはならないでしょう。
たとえ年収の総額が高くても、賞与の占める割合が高ければ将来的に企業の業績によって収入が左右されかねません。
自分の魅力を企業に知ってもらう
これは根本的なことですが、いくら年収アップを希望しても、企業側に採用の意思がなければ年収アップはもちろん、転職自体実現しません。
自分のキャリアや経験が、転職を希望する企業にとってメリットとなるのかどうか、支払われる給与がそれに見合ったものなのか、それらをアピールできるようにしておくことが大切です。
転職後の年収も考慮する
年収アップを考えた転職の場合、どうしても入社直後の収入に目が行きがちです。しかし、大切なのはその後収入がどのように変化していくかということです。
例えば、仮に入社直後は収入が下がったとしても3年後に年収が上がっていれば、年収アップの目的は果たされたといえるでしょう。
もちろん新しい会社で活躍できるかどうかは未知数ですが、判断基準のひとつとして長期的な視野を持っておくことは大切です。
年収アップが期待できる年齢と転職回数
転職において年収アップを実現するには、年齢をはじめとしたタイミングも重要です。
実際にアップした金額では30歳以上の転職者が大きく上昇していますが、割合では20代後半がもっとも高くなっています。
これは、着実にスキルを磨いてきた人とそうでない人の差が大きくなる時期だからです。
年功型の給与体系の場合この差はあまり大きくありませんが、実績評価型の企業へ転職した場合にはこの差が顕著になる傾向があります。
また、転職の回数では、初めての転職がもっとも年収アップの確率が高くなっています。
これは、仕事において十分な評価を受けるには3年以上の経験が必要だと考えられるのが一般的な中、年収アップの成功者が多い20代後半という年齢と一致します。
年収アップが期待できる業種と職種
転職によって年収アップが実現できるかは、業種や職種によっても状況が異なってきます。
まず転職による年収アップの成功者が多い業種は、メーカーや専門商社、人材サービス業などとなっています。
これらの業種の多くでは、明確な給与規定も設けられており、年齢や勤続年数、役職などによって年収額が決定する傾向があります。
既定の水準が高い企業に転職が実現すれば、多くの場合で年収アップが実現します。
一方、年収アップが期待できる職種としては、営業職やエンジニア職が挙げられます。
特に営業職はインセンティブや評価基準が設けられていることが多く、実力や実績が収入の差に直結しやすい背景があります。
また、エンジニア職も専門性が高いため、年収アップが期待できる傾向があります。
他業種への転職
年収アップが期待できる業種や職種はありますが、異業種へ転職する場合はどうでしょう?
残念ながら異業種への転職では、年収がダウンすることが少なくありません。
これは異業種間では経験が少ないことによって、給与に見合うパフォーマンスが発揮できないと判断されるからです。
言い方を変えれば、背伸びしないポジションで入社し、実績を積み上げることによって年収アップが期待できるということです。
このように、転職よって年収アップを目指すには、さまざまな要素を考慮しなけれなりません。
いざ転職後になって後悔しないように、事前準備と情報収集をしっかり行って転職活動をスタートさせましょう。
ライター名 :杉田
プロフィール:小規模IT系企業の総務・経理を担当。最新のIT情勢から、これからの企業のあり方、インターネットと社会との関わりかたを俯瞰して見据える。